先輩、私だけに赤く染まって
「聞きたいことがあって来たんです」
そう言いつつ机の上に広げられたものに視線をやる。
どうやら新しく入った本のPOPを書いていたようだ。
「でも今はちょっと」
先輩は少しも悪くないのに申し訳なさそうな顔をして口ごもる。
仕事をしているって分かっていたのに来た私が悪い。
やっぱり別の日にしようと謝ろうとしたときに、早瀬先輩の向かいに座っていた女の先輩が口を開いた。
「良いじゃん。疲れたから休憩しようよー」
もしかしなくても気を遣ってくれた…?
でもこの人のおかげで早瀬先輩も私と話をしてくれる気になったようだ。
女の先輩に軽く礼をして、早瀬先輩の隣に座る。