先輩、私だけに赤く染まって
◇◇
だけどそんな心配は杞憂に終わった。
月曜日、少し緊張しながら登校した私を出迎えたのは、いつもの笑顔で挨拶をする涼子だった。
「おはよう穂乃果、聞いて」
その様子に内心安堵した私は、机の上に鞄を置いて涼子に向き合う。
変にかしこまって言われたそれに私は首を傾げた。
「私、彼氏作る」
「え!?」
突拍子もないことを言い出した涼子につい大きな声が出る。
慌てて周りを見て、視線が集まっていないことを確認した私は顔をぐいっと近付けた。
「急にどうしたのよ」
「穂乃果と先輩を見てたら恋愛したくなったというか…、稲原先輩を追いかけるのも虚しくなったというか」