先輩、私だけに赤く染まって
自然と笑顔が溢れる。
食べるのが勿体なくなってしまう可愛さだ。
今日の記念に一枚だけ写真を撮ろうとスマホを構える。
「可愛い」
ポツリ、早瀬先輩がそう呟くのが聞こえた。
この可愛さを分かってくれたんだ、と思ってスマホの画面から先輩に視線を移すと、
先輩が見ていたのはマカロンじゃなくて、私だった。
バッチリ目が合うと柔らかい笑みを浮かべていた顔が一転、驚きに変わる。
ゆっくりと手を口に当てて、目をパチパチさせた。
まるで、自分の言ったことが信じられないみたいに。
その頬は微かに赤く染まっている。
何、それ…。
そんな不意打ちやめてほしい。きっと違うと分かっていても、自分に良いように考えてしまう。