先輩、私だけに赤く染まって
「諦めなよ穂乃果」
後ろの席からそう言ってくるのは八木涼子。
陸上部のエースで、黒板にその名は無い。
去年同じクラスで仲良くなって、今年も一緒になれて本当に嬉しかった。
先生はもう私の反論など聞く気は無く。次の話に進んでいた。
去年もあの担任の先生だったから私の扱いには慣れているんだ。
去年は上手く委員会に入るのは回避したんだけどなぁ。
しかも男子図書委員の村田くん。
話したことないし、放課後の委員会がかなり憂鬱。
もう寝る気にはなれなくて、窓の外を眺めて残りの授業時間が過ぎるのを待った。
「ついてないね、委員会なんて」
授業終了のチャイムが鳴ってすぐに涼子が話しかけてくる。