先輩、私だけに赤く染まって

「穂乃果、おはよー」


先に登校していた涼子がいつも通り声をかける。


私の顔を見ても何も言ってこないから、目の腫れは完全に引いたのだろう。


「どうだった昨日のデート」


それよりもこの話の方が気になるようで、ニヤニヤしながら尋ねてくる。


やっぱり聞かれるよね…。


前半はとっても楽しかった。私が落ち込んでるのだって、一方的なものだ。


しかもほとんど自爆。あんな話に持っていったのは自分だもの。


「楽しかったよ」


とにかく、先輩の言葉の意味は何にしろ今は涼子に言うわけにはいかなかった。


今週末に大会を控えている涼子に余計なことを考えさせたくない。


「ふーん?」


あまりに薄っぺらい感想につまらなそうに返事をする。


だけど何かを感じ取ったのかそれ以上追求されることはなかった。


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