先輩、私だけに赤く染まって
「涼子〜!おめでとう!」
涼子が教室に入ってくると、私は駆け寄って彼女に飛び付いた。
昨日、ネットで調べた大会結果にはインターハイ出場決定の欄に八木涼子の文字がしっかりと書かれてあった。
そのあとすぐに電話もしたけどやっぱり会ってお祝いを言いたくて。
私の声にクラスメートたちも涼子の試合結果が良いものだと気付いたのか、口々におめでとうと声をかけた。
それに気恥ずかしそうに涼子は言葉を返す。
鞄を机に置くと、何と表現したらいいか分からない面持ちで涼子は言った。
「話したいことがあるんだけど…」
みんなのいる前では話しづらいことなのか、涼子が私を連れたのは廊下の突き当たりの特別教室の前。
ここなら朝の時間は滅多に人が来ない。