先輩、私だけに赤く染まって
「え!?」
涼子が口にした言葉を、にわかには信じられなかった。
不思議だというわけじゃなくて、あまりに急で…。
「もう一回言って」
「だから、彼氏出来た」
涼子は恥ずかしさを隠すように素っ気なく言った。
彼氏作るって宣言してからまだ一週間。
八木涼子、恐るべし。
「誰?この高校?」
「他校の陸上部。昨日告白されたの」
インハイへの切符も勝ち取って恋人も出来るなんて、間違いなく最高の日じゃん。
「ダブルでおめでとうだね!」
親友の嬉しい報告に私の心も舞い上がる。
「ありがと。次は穂乃果の番だからね」
きっと何気なく言ったであろうその言葉に笑顔が固まる。