先輩、私だけに赤く染まって
そう思うと、今までの悩みは何だったのかと思うくらい、スッと声にしていた。
「先輩、少し話せますか?」
早瀬先輩は戸惑った顔をした。どうするべきかと考えているようだった。
でも結局、優しい先輩は私を突き放すことが出来ない。
だから近くにあった椅子を引いて、そこに座った。
私も隣に座って、先輩に向き合う。
先輩は斜め下を向いていて目を合わせてはくれない。
ああ、何から話したらいいんだろう。
声をかけたのも衝動的なもので、どうしたいとかちっとも考えていなかった。
「先輩、覚えてますか?最初に先輩とここで話したときのこと」
ああ違う。こんな話をしたいわけじゃないのに。
「…忘れるわけない。君が俺に言ってきたおかしなこと全部覚えてる」