先輩、私だけに赤く染まって
恨みを込めて言ったんだろうその言葉は、私にとっては嬉しい以外の何物でもない。
先輩の中に私が焼き付いていると分かっただけで、胸が熱くなる。
誰もいない図書室で先輩と私の二人きり。
もう自分を抑えられそうになかった。
「早瀬先輩…、好きです」
振られたら、なんて考えるよりもこの気持ちをしまっておけない。
合わせてくれなかった目がゆっくりとこちらを見て、重なった。
動揺に瞳が揺れる。
僅かに開かれた口から戸惑いの息が漏れたが、声にはならない。
眉間にシワを寄せて、眉尻を下げる。
「…ダメだよ、杉野さん」
苦しそうに吐かれた言葉は、断りではなく、拒否だった。