先輩、私だけに赤く染まって

それなのに、熱い瞳が私を射抜く。


だから期待してしまうんだ。先輩も私を欲していると。


「ダメって、どういう意味ですか」


「もう誰とも付き合わないって決めたの」


そうやって自らを枷に縛り付けて、苦しんでいる。


先輩の過去は知らないけど、ああそうですかって引き下がれるわけがない。


「そんなの納得出来ません。…だって先輩、私のこと好きって顔してる」


私を見つめる熱い情が入った瞳は、きっと私が先輩を見る瞳と同じだから。


より一層眉間のシワを濃くして、私の言葉に怯んだ。


赤く染まった頬は、肯定してると捉えていいのだろうか。


ゆっくりと右手を差し出して、先輩の頬に触れる。


触れた瞬間、先輩がピクリと動いた。


だけど抵抗はしない。瞳は重なったまま、指先に先輩の熱さが伝わる。


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