先輩、私だけに赤く染まって

先輩の瞳が一層色欲に濡れる。


私は顔を近づけた。


大胆なことをしている自覚はなかった。体が勝手に動いていた。


「私に流されて下さい」


そしてそのまま唇を合わせた。


私に流されたことにしていいから、この唇を離してほしくなかった。


目を閉じていたから先輩がどんな顔をしていたか分からないけど、突き放そうとはしない。


息が苦しくなって顔を離すと、薄く開いた目と視線がぶつかった。


それを見た瞬間に、一際大きな鼓動を感じた。


もう私の目には先輩しか映っていない。


全ての神経で先輩を感じていた。


「…好きだ」


その言葉を認識するよりも先に、再び私たちの唇は重なっていた。


さっきまでの、私に流されていたキスじゃない。


先輩から私にキスをした。好きだと、言って。

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