先輩、私だけに赤く染まって
私の想いは過去の枷に勝てなかった。
それなのに私を優しく撫でる先輩の手から愛しさが伝わってきて、私の頬には涙が伝った。
そこにいるのは私に流された先輩ではなかった。
好きだと言っておきながら、私から離れようと決めた目をしていた。
「鍵、返すのお願いするね」
そう言って私に背を向けて歩き出す先輩の後ろ姿を涙に濡れた目で見つめることしか、出来なかった。
図書室で始まった私たちは、この図書室で、終わった。