先輩、私だけに赤く染まって


だけど流石にずっと学校で待つのは暇だから、一度家に帰るつもりでいた。


それでロッカーに荷物を取りに来たとき。


何気なく見た外に、ずっと焦がれていた人を見つけた。


後ろ姿だってすぐに分かる。ちょっとハネた後ろ髪と、ふわふわ揺れる黒よりも明るい髪の毛。


直接姿を見るのは何週間振りだろう。


堪らず私は窓に駆け寄った。


ああ、この視線に気付いて振り向いてくれないかな。


そんな都合の良いことはなく、後ろ姿は少しずつ小さくなっていく。


どうしよう、このままだと先輩と話すことなく夏休みになってしまう。


強く吹いた風が私の髪を通り抜けた。


すぐに私の視線はその窓に向く。ここから叫べばいいんじゃないか。


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