先輩、私だけに赤く染まって
だけどもうとっくにその後ろ姿はなかった。
無視するなんて、大人気ない。
あの一瞬の戸惑いで、何を考えたんだろうか。
だけど避けるってことは、まだ私のことを忘れられてないって自分から言っているようなものだ。
もう私のことをどうにも思っていないのなら普通に会話したっていいんだから。
そう強がって思い込もうとするけど、やっぱり少し寂しい。
それは本当に私から離れようとしてるってことだから。
あー、もう。先輩め!
忘れさせてなんかやらないんだから!
無理に避けようとすればするほど、私のことを考えてしまえばいい。
今日のことを思い出して、悩めばいい。
先輩が歩いて行った方を恨めしげに睨んで、私は逆方向に歩き出した。