先輩、私だけに赤く染まって

◇◇

「あ、いた。健斗!」


再び学校へ戻り、涼子と私は彼氏くんに会いに駅前のカフェに来ていた。


流石、涼子はすぐに姿を見つけて駆け寄る。


私もそれを追いかけた。


彼が涼子の声に反応して、携帯を見ていた顔を上げる。


なんだかこの顔どこかで見た気が…。


「…あ!あのとき私に話しかけてきた!」


思い出した。涼子といつだったかショッピングモールに来た日、私に涼子を応援してるってメッセージを残した謎の高校生。


確かこんな顔だった気がする。制服も私立のコレだった。


「え?なに?」


涼子はすっかり忘れているのか、私と彼の顔を交互に見る。


そんな彼は気まずそうな、なんで言うんだよとでも言いたげな、恨めしそうな顔をしていた。

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