先輩、私だけに赤く染まって
激情
◇◇
日々が濃かった一学期も振り返ればあっという間で、明日が終業式。
テスト最終日に先輩の後ろ姿を見てから、次に会うことはなかったけど、
今日は一学期最後の委員会集会。
だから先輩とちゃんと話すのは今日が最大のチャンス。
何を話せばいいか分からない。私と話してくれるのかさえ確証はない。
だけど今日はどんなに拒否されたって、無視されたってめげない心持ちでいた。
このまま夏休みに入って、私のことを忘れさせてなんかやらない。
「そんなに睨んでやるなよ」
隣に座る村田くんが話しかける。
稲原先輩と共に皆んなの前に立つ先輩が、余りにも普通の顔をしているから。
自分だけがこんなに気にしているように思えて悔しくて、つい見続けてしまう。
だからって、睨んでいたつもりはないんだけど。