先輩、私だけに赤く染まって

激情


◇◇

日々が濃かった一学期も振り返ればあっという間で、明日が終業式。


テスト最終日に先輩の後ろ姿を見てから、次に会うことはなかったけど、


今日は一学期最後の委員会集会。


だから先輩とちゃんと話すのは今日が最大のチャンス。


何を話せばいいか分からない。私と話してくれるのかさえ確証はない。


だけど今日はどんなに拒否されたって、無視されたってめげない心持ちでいた。


このまま夏休みに入って、私のことを忘れさせてなんかやらない。


「そんなに睨んでやるなよ」


隣に座る村田くんが話しかける。


稲原先輩と共に皆んなの前に立つ先輩が、余りにも普通の顔をしているから。


自分だけがこんなに気にしているように思えて悔しくて、つい見続けてしまう。


だからって、睨んでいたつもりはないんだけど。

< 246 / 317 >

この作品をシェア

pagetop