先輩、私だけに赤く染まって

もう一度先輩の方を見ても、もう既にこちらを見てはいなかった。


それが強がりだったのか、それともさっきのが偶然だったのかは分からない。


村田くんの言う通りならば、私と彼がこうやって話していることに嫉妬していた、ということ?


人の前に立っているのに、真顔を崩してしまうほど私のことを気にしていたのだろうか。


恋愛の先輩である村田くんの言うことは、私にとっては信頼度が高い。


もしかしたら本当に私と村田くんを気にしてあんな顔で見ていたのかもしれないと思うと、猛烈に顔が熱くなってきた。


もう村田くんの顔も先輩の顔も見れない。


先生が委員会の締めの言葉を言うまで私は俯いていることしか出来なかった。


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