先輩、私だけに赤く染まって
放課後、私は柄にもなく緊張していた。
図書当番の日程が書かれているプリントを見たら、先輩の当番が今日だったのだ。
昨日予定にはない当番を手伝った所為で、二日連続になってしまって、本当に申し訳なく思った。
今は図書室の前の廊下で、先輩が来るのを待っている。
図書室の中で待っていようかとも思ったんだけど、なんとなく図書委員の人に見られたくなくて。
図書室は静かだから会話が聞こえそうだし。
だからこうやってコソコソとしているのだ。
「あれ、杉野さん?」
緊張し過ぎてやっぱり今日は帰ろうかな、と怖気付いた矢先。
少し遠くから早瀬先輩の声がした。
弾かれたように声の方を向くと、一人でこちらに向かってくる先輩がいた。