先輩、私だけに赤く染まって

久しぶりに出た外は当たり前に暑過ぎて。


雲一つない空を綺麗と思うよりも鬱陶しいと思う方が強い。


少しくらい太陽が雲で隠れてくれても良いのに。


こんなことなら帽子も被ってくれば良かった。


手で顔に影を作りながら、私は図書館へ向かった。


市の図書館へなんて去年までの私なら行こうとも思わなかった。


だけど図書当番の合間に本を読む機会が増えて、せっかくだから借りてみようと思ったのだ。


本を読んでいればお母さんだって文句を言えまい。


それにこの土曜日に、ショッピングモールに行く勇気はなかった。家族やカップルで溢れているあの場所に一人でなんて私はいけない。

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