先輩、私だけに赤く染まって

その通りにそちらを見る。


カウンター席に座っているのは小学生の男の子二人と、私と同い年くらいの男子、女子、そしておじさん。


横顔しか見えないけど誰も私の知り合いではなさそう。


となると、村田くんが気にしているのが誰なのかさっぱり分からない。


「あの人たちがどうしたの?」


今度は怒られないように小声で尋ねる。


「あの真ん中に座ってる女子、俺の前の彼女」


彼女から目を逸らすことなく呟かれたそれは、私を十分に驚かせた。


「えっ」


まさか村田くん、彼女を諦めきれなくてストーカーしてたんじゃ…。


だからここからこっそり見つめていたんだ。


「村田くん…」

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