先輩、私だけに赤く染まって
矛先が突然私に向いて驚く。
随分と不躾に聞くんだな、自分が彼女を奪っといてデリカシー無さすぎやしないか。
「ちょっと、陽汰」
後ろにいた彼女が金髪をどつく。それに金髪はふて腐れたように黙った。
その様子を見て意外と尻に敷かれているのは金髪かもしれないと思った。
「ごめんね卓也。ほら、行くよ」
彼女は私にも会釈して、金髪を連れて立ち去った。
後ろ姿を追いかけているであろう私たちに見せつけるように、金髪が彼女の腰に手を回す。
金髪を見る彼女の横顔は、幸せそうで。二人にある壊せない仲というのはコレなのかなと思った。
私たちが声を出す暇もなく勝手に突っかかってきて勝手に立ち去った二人に呆気にとられる。