先輩、私だけに赤く染まって
「ごめんな杉野、変なことに巻き込んじゃって」
私たちは私語ができるテラススペースに移動した。
金髪に絡まれたことで村田くんは参っている様子だった。
「新しい彼氏と知り合いだったの?」
「中学の同級生なんだ、特に仲良くはなかったけど。それにしても振られたのはこっちだってのにわざわざ話しかけてくるなんて死人に鞭打つような真似、よっぽど俺のことが気に食わないのかな」
「違うよ」
ハッキリと否定した私の顔を見る。
全くの第三者だから分かる。あれは、彼の態度はただ単に気に食わないというよりも。
「金髪は村田くんの影に怯えてるんじゃないかな。きっと、村田くんが良い人だって知ってるからああやって噛み付いてきたんだよ」