先輩、私だけに赤く染まって
村田くんと付き合っていた彼女を好きになったから。
金髪は村田くんの良い所を嫌でも知ったはずだ。
だから私に彼女かと聞いてきた。
村田くんに新しい彼女が出来ていれば少なくともその間は安心だから。
「凄いな杉野は。俺一人だったらそんな風に考えられなかった」
村田くんはまじまじと私の顔を見た。
そんなの、第三者だから分かっただけだ。どうしたって自分のこととなると鈍くなるものだから。
「でもほんと、放っておいてほしいよ。会う度に話しかけられちゃ、忘れることも出来ない」
力無く笑って遠くを見た村田くんはきっと、今もまだ葛藤しているんだろう。
彼女の幸せを願う気持ちと、自分の好きが片付けられない不甲斐なさ。