先輩、私だけに赤く染まって

「それは残念だけど、お母さんが言ったのは和樹くんのことじゃないのよ」


残念と言いながらも微笑んで、よく分からないことを言う。


首を傾げる私を見てまるで恋バナをする少女のように楽しそうに笑った。


「お母さん見ちゃったのよ。最近、同じ学校のメガネで背が高い男の子とよく帰ってきてるでしょう」


思ってもみなかった言葉に目を見開く。


そんなの、早瀬先輩しかいない。まさかお母さんに見られていたなんて。


何と反応すれば良いか分からなくて、口をパクパクするしか出来ない。


「お母さん良いと思うわよ、あの子。昔のお父さんに似てるわぁ」


そう言って回想するように斜め上を見た。そういえばお母さんとお父さんも高校時代からの付き合いだっけか。

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