先輩、私だけに赤く染まって

私的には早瀬先輩とお父さんが似てるなんて全く思わないけど。


「でも夏祭りのことは、約束してないし…」


「誘えばいいじゃない」


簡単に言ってくれる。


私たちは今どんな関係なんだ。ただの先輩後輩でもない、友達も超えてしまった、だけど恋人でもない。


先輩が私との関係に一歩前に足を進めてくれることを私は期待してる。


だけどここまで連絡がないと少しばかり不安にもなってくる。


「まー、いいじゃない。とりあえず新しい浴衣買いましょ」


悩んでる私の顔を見て何か察したのか、明るい口調で言い切った。


飲み切ったコーヒーカップを手にキッチンにいなくなる。


さっきまで読んでいた小説の内容もすっかり抜けてしまった。


ただ活字を追うだけで頭は別のことにいっぱいになっていた。

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