先輩、私だけに赤く染まって
嘘、ダメだった…?
先輩は優しいからきっと女の子が恥をかくようなことはしないと、高を括っていた。
「後輩の友達が出来るなんて思ってなくて、ビックリしちゃった」
軽く微笑んで、先輩が言う。
もう、寸前まで出かかった私の涙返して!
「いいよ、お友達。よろしくね杉野さん」
本気で泣きそうだったのに、優しく笑ってそんなことを言うもんだから、
涙なんて何処かへ吹っ飛んだ。
緊張感から解放されて、この後のことは全然覚えていない。
どうやって先輩と別れたのかも、どうやって家に帰ったのかも。
だけどスマホの連絡先に入っている先輩の名前が、友達になれたということを実感させた。