先輩、私だけに赤く染まって
◇◇
次の日久しぶりにお母さんと外でランチを食べ、駅前のショッピングモールへ来ていた。
やっぱり人で溢れていて、昨日来なくて良かったと思わされる。
「お嬢様は綺麗なお顔立ちでいらっしゃるから桔梗の柄なんていかがですか?」
お母さん、先輩とのことで気合入っちゃってこんなちゃんとした着物屋さんに私を連れて来るなんて、私より浮かれてる。
店員さんが私に当てたのは紺色の生地に白い桔梗の花が描かれた大人っぽい浴衣。
「似合うわよ、穂乃果。とりあえず着てみたら?」
私には大人っぽすぎる柄かなと思うんだけど。
お母さんに言われるまま、店員さんに浴衣を着付けてもらう。
鏡の前で髪をアップにすると、流石店員さんだなと思った。