先輩、私だけに赤く染まって

紙袋をそっと覗くと、薄紅色のお花が見えた。


これがハナミズキなんだ。


「お客様、ハナミズキの花言葉を知っていますか?」


私は首を横に振る。


「私の想いを受け入れて、です」


小声で告げられたその花言葉は私にぴったりと当てはまりすぎていた。


私の状況を知ってか知らずか、花言葉を教えてくれた店員さんに驚く。


多分あげた全員に言っていて、私だけに特別ということはないんだろうけど。


「ありがとうございます」


貰った紙袋を手に私は笑ってみせる。


あの浴衣と、この髪飾りをつけて先輩と夏祭りに行く。


その未来が見えた気がして、胸が高鳴った。


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