先輩、私だけに赤く染まって
打ち上がれ
◇◇
翌週の金曜日、私は勉強机に向かって背筋をピンと伸ばして座っていた。
その手に持っているのはシャープペンではなくスマートフォンだ。
明日は例の夏祭りの日。お祭りは数日間行われるけど花火は明日打ち上がる。
余計なことを考えさせないように、私は今日まで先輩を誘うことはしなかった。
もしかしたら既に予定が入っているかもしれない。
それも込みで、一か八かの賭けだった。
『明日、隣町の夏祭りに一緒に行きませんか?』
携帯を握りしめている両手にじんわりと汗が滲む。
先輩とのトーク画面が久しぶりに更新される。
私が送った文に、すぐ既読が付いた。
それなのに一向に返事がない。