先輩、私だけに赤く染まって
行くべきだとか行かないべきだとかまた色々と考えているんだろうか。
『花火が上がるんです』
先輩はトーク画面を開いたままなのかすぐにまた既読が付いた。
『19時に入り口で待ってます』
一方的に約束を取り付ける。
もし先着があるのならとっくにそれを言っているだろう。
だからやっぱり、私とだから返事を渋っているんだ。
『先輩が来るまでずっと待ってます』
最後までトーク画面は見ていたようだけど、返事はなかった。
私が電源を切った今もまだ、画面と睨めっこしているかもしれない。
先輩が来るかどうかは本当に賭けだ。
お祭りという場に私を一人で居させられるのか。私と離れたがっていた頃の先輩だったら来ないかもしれない。
だけど…、私を好きだと。ずっと考えていたと話してくれた先輩は、確かに私を受け入れようとしていたから。
来るかどうかは分からなくても私は先輩を待つのみだ。