先輩、私だけに赤く染まって
初めて想いを告げた図書室では誰とも付き合う気がないと、何も教えてもらえずに私の前からいなくなった。
想いをぶつけた帰り道で先輩の激情を垣間見て、私への想いと先輩の苦悩を知って。
今日、それでもまだ付き合ったら苦しめてしまうなんてことを言っていた先輩が。
そんなことを思っていてもなお、私と離れるなんて耐えられないと。
私と恋人になろうって、そう言ったの?先輩。
「杉野さんがまだ俺のことを好きでいてくれているなら、だけど」
不安げに私の瞳を覗き込む。この自信のなさも愛しく感じてきた。
私が愛を沢山伝えなきゃって思わされる。
私は先輩に飛びついた。
胸がキューッて締め付けられて、苦しい。何と言ったらいいか分からないほど嬉しいのに、ドキドキも相まってどうにかなりそうだった。