先輩、私だけに赤く染まって
「好きです、ずっと好きです。先輩に人殺しはさせませんから」
「…ほんと忘れて、あのときはおかしかったんだ」
後悔たっぷりと言ったように低く呟いた声が耳に触れる。
「そんな先輩も好きです」
もう何にも遠慮せずこの気持ちを口にしていいんだ。
そう思うと何度だって言いたくなる。
耳元で先輩が息を呑むのが分かった。そして悶えるように静かに息を吐く。
「こんな私で良ければ、よろしくお願いします」
先輩の腕の中から顔を出すと、優しく微笑んでいる先輩と目が合った。
あ、可愛いなって思ってる目でしょ。
もうこんなこと思うのも自意識過剰じゃないんだ。
「杉野さんじゃなきゃダメみたいだ」