先輩、私だけに赤く染まって
私と先輩の図書室で
◇◇
夏休みが早く終わればいいのになんて、人生で初めて思った。
だから今日は朝からウキウキだった。
目覚ましのアラームが鳴るよりずっと前に起きてしまうくらいには楽しみにしていた。
ようやく訪れた始業式の日。
夏季課外が始まってしまった先輩とは、夏祭り以来会っていなかったから、なんだか緊張する。
「杉野!聞いた?俺ら今日図書当番だってよ」
やっと帰れるとウキウキで廊下を歩いていた私を村田くんが呼び止める。
「え!?そんな…」
全然知らなかった。
先輩と一緒に帰る約束してたのに…。
私の落胆の仕様に村田くんが苦笑いする。
泣く泣く先輩に先に帰ってもらうようメールをして、私は村田くんと一緒に急いで図書室に向かった。