先輩、私だけに赤く染まって
先輩の返事も聞かないうちにさっさと立ち上がってカウンターの外側に出て行く。
私も先輩も呆気にとられて何も言えなかった。
「それじゃあ」
得意げな顔でヒラヒラと手を振り、本当に帰ってしまった。
二度も先輩に仕事を押しつけて。先輩の中で村田くんの評価最悪なんじゃないか。
私としては村田くんグッジョブって感じだけど。
「はは…勝手な人ですねー…」
苦笑いするしか出来ない。村田くんの代わりに謝ったら、また機嫌悪くなっちゃうかもしれないし。
「どっちみち図書室にいるつもりだったんだから良いよ。あと十分だし」
鞄を持ったまま、カウンターの中に入ってくる。
先輩とここに並ぶのは三回目だった。