先輩、私だけに赤く染まって

閉館間近の図書室にはもう誰もいなかった。


今日はもともと私のクラスだけが当番だったから、いつもの一組の人たちもいない。


雑用も全て終わらせていたから、ただ先輩と隣に座っているだけだった。


「ねえ先輩?夏祭りの日、もし私がナンパされなかったらいつ出てくるつもりだったんですか?」


後から思えば、私を助けた先輩は図ったようにタイミングが良かった。


だからもしかしたら何処からか私を見ていたんじゃないか。


私の質問に先輩はバツが悪そうな顔をした。


「杉野さんとちゃんと話をしようと行ったはいいけど、君の浴衣姿を見たら自分が不釣合いなんじゃないかと思って中々声をかけれなかったんだ」

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