先輩、私だけに赤く染まって

「え、先輩電車通学ですよね?」


この前は校門の前で別れた。


なのに今日は駅とは逆方向の私の家の方に迷わず足を進めようとしていた。


「うん。杉野さん家はこっちでしょ?」


それはそうだけど…。


「送ってくれるってことですか!?」


「その為に教室まで行ったんだよ。それに、あんなに嬉しそうな顔されたらね」


先輩と会う度に、違う一面が見える。


先輩が私のことを少しでも気にかけてくれるなら、いくらでも素直になれる。


「へへ、ありがとうございます」


いつも一人でつまらなく歩いてたこの道を、先輩と並んで歩いているなんて夢みたい。


帰り道は先輩と色んな話をした。


話が盛り上がりすぎて、十分の道のりが足りないくらいだった。


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