先輩、私だけに赤く染まって
お終い、ってそう言って先輩はメガネをかけてしまう。
でも正直そうしてくれて助かった。
またあの状況になったら私、絶対に止まらなくなる。
学校を出たときはあんなに夕焼けが真っ赤に染まっていたのに、今はもう影の色とほぼ同じになっていた。
「用事がなくても、寂しいときは電話していいですか?」
「ふ、いいよ」
この優しい笑顔が私だけのモノになればいいのに。
別れが惜しいって、ほんの少しでも思ってくれていますか?
こんなに沢山の幸せがこの一時間であったのに、それ以上に今は先輩との未来を望んでしまうこの心が痛かった。