先輩、私だけに赤く染まって
◇◇
「あ、穂乃果ちゃん。三年の先輩が探してたよ」
私が図書当番だった日の次の日。
掃除を終えて教室に戻ると、クラスメートから声をかけられた。
それに私は一気にテンションが上がる。
きっとそれ、早瀬先輩だ。
早瀬先輩以外に心当たりなんてないもん。
教えてくれたクラスメートにお礼を言いながら、先輩の教室に向かって走り出した。
「うおっ」
その途中、階段を駆け上がっていると折り返しのところで誰かにぶつかりそうになり、直前でギリギリ止まる。
いけない。急ぎすぎて前をよく見てなかった。
「すみません!」
「杉野さん、良かった探してたんだ」
一歩下がって顔を上げると、ぶつかりそうになったのは早瀬先輩だと分かる。