先輩、私だけに赤く染まって

同学年なら気遣わなくていいから、ちょっとは楽かな。


活動は明日からで、今日の委員会はすぐに終わった。


「村田くんは部活?」


「いや、俺は学校の部活には入ってないんだけど、習い事してる」


そう言ってエアーで指をバラバラに動かす。


「…ピアノ?」


「当たり。じゃあまた明日」


この後もレッスンがあるのか、急いで図書室を出て行った。


それにしてもピアノか。うん、でもなんかしっくりくるかも。


前を見ると、委員長と副委員長がまだ話をしていた。


大変そう。代表にだけはなりたくないな。


バッグを取りに一度教室に戻る。


まだ教室に残っていた友達に声をかけ、私は校舎を出た。


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