先輩、私だけに赤く染まって
なんでアンタがそんな顔するのよ。
泣きたいのはこっちだって。
先輩から貰ったペットボトルを、鞄越しにギュッと握った。
少しでも力が欲しい。
「はやく帰って」
顔も見ずに告げる。
諦めたのか、何も言わずに私の横を通り過ぎて行った。
自分の部屋に入るとベッドにうつ伏せになる。
今日、全然良い日なんかじゃなかった。
というか良い日だったのに和樹の所為で台無しだ。
一年以上かけて傷に蓋をしてきたのに。
恋も楽しいかなって思い始めてきたときだったのに。
あのときの記憶が鮮明に思い出される。
どうして私たちは友達という関係じゃ我慢出来ずに、恋愛したがったんだろう。
和樹と私じゃ上手くいかないってあのときだって思っていたのに。