先輩、私だけに赤く染まって

目をつぶってベッドに体を預けていると、スカートのポッケから振動が伝わる。


マナーモードにしたままだった。


体をよじって携帯を取り出すと、一件の新着メッセージ。


『今日はありがとう、また学校でね』


早瀬先輩からだ。お礼のメッセージも抜かりないなんて、本当に律儀な人。


私今、参ってる。


…先輩の声が聞きたい。


迷惑かな。でも用がなくても電話していいって言ってくれた。


何を話すとか考える前に、発信ボタンに指が伸びる。


三回目のコール、思ったよりもはやく先輩は電話に出た。


「杉野さん?」


あ、困ってる。そりゃそうだよね、急に電話が掛かってくるなんて。


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