先輩、私だけに赤く染まって
きっと何かあったのは勘付いているのに、詳しく聞かない大人の対応に今は救われた。
まだ過去の傷のことを引きずっている。
それが今日でよく分かった。
だけど先輩がくれたペットボトルがあったから、私はあそこまで強く言えた。
多分それがなかったらあのときの記憶を思い出して、逃げることしか出来なかったと思う。
もう和樹に弱い自分を見せない。
逃げるんじゃなくて、初めてそう思えた気がする。
バッグからミルクティーを取り出す。
やっぱりこれはもったいなくて、飲めないや。
これは私のお守り。先輩がいつでも見守ってくれる。
勝手にそう位置付けて、未開封のまま机の上に置いた。