先輩、私だけに赤く染まって


今日和樹と会ったことは、まるで想定外だったけど。


それ以上に、行き場のない焦がれる思いが心の中を燻っていた。


もうこの気持ちを無視できない。気付かないフリなんて出来なくなってしまった。


…どうしようもなく、先輩が好きだ。


ずっとずっと恋愛に対して消極的だった私を、変えてくれたのは。


この重い心を軽くしてくれたのは、先輩だったから。


先輩の言葉で飛んで行けそうなくらい嬉しくなったり、簡単に泣いてしまいそうなくらい寂しくなったり。


恋って、そういうものだ。


先輩を好きだと確信させたのは、皮肉にも和樹だったけど。


先輩がいなかったら、絶対に私今日のこと数ヶ月は引きずってたもんな。


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