先輩、私だけに赤く染まって

「っ!?」


危なく、悲鳴まじりの声が出るところだった。


完全なる不意打ち。


まさか先輩がここにいるなんて。


先輩は隣にいる友達の方を向いていて、私には気付いていない。


男友達に見せる先輩の顔は私に見せるものとは違っていて。


それもまたいいな、とジーッと見つめてしまう。


そんなにずっと見つめていたら目が合うのは必然的。


私と先輩の目はバッチリと合ってしまった。


どうしよ、近付いてくる。全然心の準備していなかった。


そうこうしているうちに、先輩は私の前まで来てしまう。


「杉野さん、一人?」


当たり前に話しかけてくれるのが嬉しい。だって挨拶だけで済ましたっていいわけじゃない?

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