先輩、私だけに赤く染まって
想定外
◇◇
何回か図書委員の役割が回ってきて、大体の仕事を覚えたころ。
「ごめん杉野!今日急にピアノの先生来ることになって、図書当番行けないんだ」
申し訳なさそうに言ってきた村田くん。
先生には言ってあるから、とひたすら謝る。
「大丈夫だよ、仕事はもう覚えたしなんとかなるって」
そう言うと、少し安堵した顔で急いで教室を出て行った。
村田くんにはああ言ったものの、一人となると正直キツイなぁ。
図書当番が意外と大変なのは、ここ一ヶ月で身をもって思い知らされた。
ま、でも早く帰ったところですることないしね。ゆっくりやるか。
そう思って開けた図書室の扉。