先輩、私だけに赤く染まって

何て言ったんだろう。本当に合ってるかな。


だってまさか。先輩からそんなこと言う?


「待ってて」


頭の中で浮かんでいた言葉が、隣から音になって聞こえた。


その右隣りを見ると、村田くんもまたこちらを見ていた。


「って言ったよね。杉野に向かって」


そうだった。村田くんは私が先輩のことを好きだと勘付いていたんだった。


決定打を与えてしまったよ。


だけど今はそんなことより、先輩のそれの方が大事だ。


「ほ、本当にそう思う?」


「俺にはそう見えた」


二人共同じように見えたのなら、そうだって思ってもいいよね?


何で村田くんもタイミング良く見てたんだって話だけど今はむしろ助かった。

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