先輩、私だけに赤く染まって

先輩が私に向かって待っててって言うなんて、一人だったらハテナが浮かびまくってた。


「じゃあ、楽しんで」


村田くんは笑顔でそう言って、先に帰って行った。


自分だって大変なときなのに私の恋も応援してくれるなんて、良い人。


村田くんの好感度ちょっと上がった。


村田くんが帰ってからそんなに時間は経たずに、稲原先輩が急いで図書室を出て行った。


このあとも部活なんだろうな。


そして図書室には私と先輩の二人きり。


よくやく委員会から解放された先輩が疲れたように伸びをする。


「さっき何て言ったんですか?」


鞄を取り、こちらに歩いてくる先輩に尋ねる。


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