先輩、私だけに赤く染まって
予想外の出来事に頭が混乱してて私がすぐに返事をしないもんだから、先輩が不安げな表情を浮かべる。
この人、心を開いて近づいて来たと思えば急に自信なさ気に一歩引いてしまう。
行動がいまいち噛み合ってないんだ。
そんな先輩の不安を消し去るべく、私は勢い良く立ち上がる。
「予定なんてないです!私も先輩と一緒に帰りたい」
立ち上がったって顔の位置は揃わないけど、必死に目を見て言う。
少しでも私の気持ちが伝わるように。
先輩の目が、私を捉えた。
その顔が安堵したように、満足そうに笑う。
「うん、良かった」