先輩、私だけに赤く染まって

またこの道を先輩と歩けていることに私は幸せを感じていた。


しかも今日誘っていたのは先輩からだ。


こんなの浮かれずにはいられない。


手なんて勿論繋がないし、寄り道もしないけど一緒にいられるこの時間だけで幸せだ。


「あのミルクティーちゃんと飲んだ?」


不意打ちで掛けられた問いにすぐに返事が出来ない。


だって飲んでいないから。


飲んだことにすれば良いんだろうけど生憎スラスラと嘘がつけるタイプではない。


「杉野さん?飲んでないんでしょ」


どうやら先輩は見た目より大分鋭いらしい。


私の沈黙の意味を何も言わずとも察する。


「未開封なら賞味期限まだ持つし、大丈夫ですよ」


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