好きになりたくなかった。
0週目。



約5時間前。


「お前なに飲む?酒飲む??笑」


「…飲むし」


私がお酒弱いのを知っていてあえて挑発的に言ってくるコイツの名前は富田。

大学も学科も同じでなんだかんだ仲が良かったのだが、少し前まで私には彼氏がいたので、こうやって二人でご飯に来ることはなかった。


今日は富田に誘われて焼肉へ。特に飲む予定もなかったが、挑発に腹を立て飲むことにした。
そう言っても弱いものだけど。


「お前もう真っ赤じゃん、はや」


「…あっつい」


「よせばよかったのに」



ぐっと飲み干す富田。
私とは違って彼はアルコールに強い方。

だけど、酔わないわけじゃない。


お互いお酒もまわり少し砕けた話をするようになった頃、唐突に富田が言った。


「俺、お前に黙ってたけど、夏に彼女いたんだよね」


「…え?嘘」


ふとそう言われビックリしてちょっと酔いが覚めた。富田には全然彼女がいなかった。
と言っても一年前くらいにはいたけど、長くもなく。




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